ちょっと鬱な話になってしまうのだけど、
あ、引きずられたくないとか、苦手とかいう方はこちらで解散。
ィエスェー。
専門学校を出て、東京に来て、
一番最初に勤めたのが、栄養士として病院でご飯を作ることだった。
2週間くらい、中野の大きな病院の分院で、
先輩栄養士さんの許で器具の使い方とか、調理の仕方とか、
そういうちょっとした研修を受けて、
もう大分笑い話と武勇伝になった別の病院に移ったのだけど、
そのとき、その研修をしている病院に、清掃担当のお兄さんがいた。
変わったところもなく、挨拶をすれば普通に返してくれるひとで、
本当にごくごく普通の、30歳くらいの人。
笑顔も見たことがあったと記憶している。
36605は2週間の研修が終わったあと、
件の武勇伝を持つことになった病院に移り、その会社を一旦辞めた。
夏頃の話。
そのあと、どうしても人員が足りないと言われ、
仲良かった同期も36605と同じ思いをしているのはしんどすぎる、
と思い、同じ職場/同じ病院(=武勇伝の病院)に戻った。
だけどある日、本社から部長が来て、
36605は研修先の病院に戻ってくれないか、と言われた。
研修でお世話になった先輩栄養士さんと、
そこに勤務しているもう一人の同期栄養士が辞めるからだ、
と聞かされた。
そのときには、もう清掃担当のお兄さんはいなくなっていた。
後々聞くところによると、
清掃担当のお兄さんは、アメリカへ行くと言っていたそうだ。
パスポートとスーツケースにつめた身の回りのものだけを持って。
それまで住んでいた日本のアパートは契約したまま、
携帯電話も契約したまま、
旅立つそうだ。
帰国はしないつもりで。
パスポートも、現地で故意に失くすつもりで。
なにもかも棄てて、アメリカへ行く。
…
先輩栄養士と飲んだときに、清掃担当のお兄さんはそんな話をしたそうだ。
そして、本当に病院を辞めてしまった。
そのあとは、どうなったか知らない。
何年も忘れていた話を、ふと今日思い出した。
清掃担当のお兄さんと同じことをしようとは思わない。
36605には家族もいるし、
(お兄さんは天涯孤独だったか、家族と不和があったようだ。)
大切な友達もいるし、
無駄に責任感もある。
なんとなく、
本当になんとなく、ふと思い出しただけなのです。
お兄さんは元気でいるのだろうか、
それ以前に、まだ生きておられるのだろうか。