第19回下北沢演劇祭参加公演
劇団空晴第3回公演「引っ越しのススメ」@下北沢OFF・OFFシアター
観て参りましたーッ
【あらすじ】
築30年以上の関西にあるアパート。
203号室は『使わないけど使えるもの』であふれていた。
そこは、引っ越しをするときに住人達が『使わないけど使えるもの』を置いていくことがならわしとなっているのだ。
ある日、アパートに7年前に住んでいたという男が、“探し物”をしに来た。
彼の友達が203号室に置いていったものだという。
一週間後に引っ越しを控えている男と、その後輩。
ずっと住んでいる男。
“中国の”留学生。
203号室に引っ越すはずの男と、引っ越しの手伝いをする弟。
そして現れた、同じく7年前に住んでいたという、“探し物”をしに来たもう一人の男。
“探し物”とは一体なんなのか、そして彼らの関係は
関西で活躍する劇団空晴、心温まる会話劇。
引っ越しはススム、引っ越しでススム。
It's so Easy
+タツミ…上瀧昇一郎(劇団空晴)
+ワカヤマ…板橋薔薇之介(クロムブリデン)
+ナラサキヒロシ…平本光司(劇団空晴)
+ナラサキコウタ…小池裕之(劇団空晴)
+ヒョウドウ…浜田信也(イキウメ)
+シガキ…太田清伸
+フクイ…久保井研(唐組)
+キョウ…北村守(スクエア)
*川下ともこ(劇団空晴)
*岡部尚子(劇団空晴/作・演出)
みんな優しいよ
みんな優しいから、あんな誤解が起きるんだよ
切ない、微笑ましい、愛おしい。
●お兄ちゃん(=ナラサキヒロシ)の気持ちはわからない、
うちの姉はあんな風に思ってないだろうから。
だから、36605は償いとか、恩返しとか思わない。
弟(=ナラサキコウタ)の気持ちはね~、すごくよくわかりました。
まんまだもな、小さい頃は体が弱くて、とか。
小さいときは、きっと姉にお兄ちゃんみたいな思いをさせただろうし。
でも、償いとか恩返しとかは思わない。
恩返しなら、別のところで思ってる。
もし償いとか恩返しとか望んでいるなら、言ってください。
上瀧さんが最後に言った、
「兄ちゃんやもんな、俺ら」
もすごく優しいと思った。
●シガキくんとヒョウドウ先輩の関係も微妙な。
ヒョウドウ先輩はずっと悪い、悪いと思って、その分シガキくんに優しくしようと思う、
けど、シガキくんにすればもう充分優しくしてもらったのに、罪悪感を感じる先輩に逆に申し訳ないと思う。
シガキくんが申し訳ないと思えば思うほど、先輩はまた申し訳ないと思う。
先輩が引っ越したあと、シガキくんも引っ越すことを先輩に言えなかったのは、
「だから」だと思われるのがつらかったから。
もう、フツーの関係でいいと思ってるから。
今回、こんな騒動が起こらない限り、でも先輩はシガキくんの引っ越しを「俺のせい」にしちゃってた。
親の都合とか、シガキくんの都合なのに。
先輩のせいなんかじゃないのに。
先輩が関西弁を話さなかったのは、
シガキくんに「今までの俺とはちがう、だから怖がらないで」て言いたかったから。
お前をいじめてた俺とはちがう、本当は仲良くしたかったんだ、関東に行って変わったから、
俺、変わったから、一緒に遊んでや。
関西弁を話すようになった先輩は、もう鎧うものがなくなったんだね。
シガキくんと、本当にフツーの先輩と後輩になれたんだね。
許したシガキくんも優しいし、悩んでいた先輩もすっげ優しい。
●タツミ兄ぃとワカヤマさんは、女子が絡むからなおさらね。
しかもその女子=ニシさんが亡くなってるからね。
タツミ兄ぃはワカヤマさんを悲しませまいと画策するし、ワカヤマさんはまんまと勘違いするし。
タツミ兄ぃも最初は悔しかったから隠そうとしたこともあっただろうね。
自分が好きな相手が、弟を好きで、でも弟はそれに氣づいてなくて。
だけど、「兄ちゃんやもん」でワカヤマさんを守ろうとした。
ワカヤマさんが勘違いしたと氣づかないように、嘘をついた。
ワカヤマさん(=弟)が傷つかないように。
だから、守り続けたワカヤマさんから歩み寄ってくれたタツミ兄ぃは、すごくうれしかっただろうなぁ。
世間一般の兄ちゃんはどうか知らんけど、タツミ兄ぃはすごくワカヤマさんを大切に想ってると思う。
●でも、一番優しいのはキョウさんだと思う
最後まで中国人のふりして、みんなが自力で立ち上がるのを待ってた。
●永遠の20代(=フクイくん)はいいなぁ~、自由(笑)。
フクイくんは、きっと自由に行動してるうちに、なんか色々解決してそう。
○やはり一番じーんときたのはコウタが兄ちゃんに対する思いをみんなに言ってるとこかな。
似てるからさー、柄にもなく36605を重ねちゃったよね~。
○兄ちゃんの「お前のがエエやつやんけ」>シガキくん も良かったなぁー。
すごく良い舞台だったー。
キャパが小さいから、すごくアットホームな空間。
平日の公演なのに、満員。
隣に座ってたおばちゃんが、公演中に水を飲んだのにはびっくりしたけど(苦笑)。
お目当ての上瀧さんはものそいかっこよかったし、
太田さんもすごく素敵だったー
作・演出の岡部さんて、きっとすごく頭のいい方なんだろうなー、と思った。
あ、ちなみに。
今回の第19回下北沢演劇祭、弘前劇場も参加してるらしいですよ。
(行かないけど)
でわでわ。、ばいちゃー。
【補足】
終演後、玄関に役者さん+岡部さんがお見送りをしていたのだけど、
太田さんはどなたかとお話をしていて、話しかけられませんでした…
玄関はせまかったから、待ってたら邪魔だろうし。
アンケートも書かずに帰ってしまったけど、本当にすごくいい舞台だったんだよー。
太田さんのブログに書き込みをしようと思います。
端っこの席だったから、早く出ないと迷惑だと思ったし…
でも、本当にすごくいい舞台だったんだよ~。
パンフがないのが残念なくらい。
劇団HPの画像が、今見るとすごくいいなぁ~
タツミ兄ぃとワカヤマさんがCD(「It' so Easy」)持って笑いあってて、
兄ちゃんはコウタをちゃんと見てるし、
ヒョウドウさんはシガキくんを自然に手伝ってるし。
キョウさんとフクイくんは自由(笑)。
30年以上住んでるフクイくんの、「使わないならなんかちょーだい」、この一言がなかったら、
タツミ兄ぃとワカヤマさんの仲直りは一生なかっただろうし。
年はいくつと訊かれて、「20歳(はたち)、たまに30歳♪」と応えるフクイくんにも、
30年間色々あったんだろうなぁー。
結局、203号室は物置ではなくなってしまうけど、それはもう本当にささやかな「始まり」を意味している。
タツミ兄ぃとワカヤマさん、兄ちゃんとコウタは、結局兄弟だし、これからも仲は続く。
願わくば、ヒョウドウさんとシガキくんが、ずっと仲良しでいられますように。
年賀状のやり取りとか、そんな些細なことでいいから。
そして、やっぱりこうだよなぁ、と思ったのは。
まぁまぁ大阪公演を経ての東京初日だったわけだけれども。
ブレが全くない
出端もセリフが走らない
勿論スティック状のセリフは誰一人として発しない
これが正しいよなぁ、プロなら… (苦笑)。
まぁいいんだけど。初日にブレがある“彼ら”も大好きです。
小さい劇場なのに、席はすごく楽だった。
客席と客席の間も広かったし、舞台とむちゃむちゃ近かったし。
キャパは100くらいかな。