いまお世話になっている会社は、通信販売も行っている。
ショップで販売している一部の商品を、遠方でショップに来られないお客様のために、
販売している。
今日、一本の電話が入った。
「震災前に注文した商品が届かないんです。」
宮城県の女の子だったらしい。
(わたくしが直接電話を取ったわけではない。)
“震災”を理由に、無理を言ってくるひとたちも随分いたため、
わたくしたちはちょっと疑ってかかっているところがあり、
通販を担当している社員さんに確認をした。
社員さんが電話を代わり、そのお客様とのお話は終わったのだけど、
社員さん曰く、
震災があったあと、津波被害が甚大だった地域のお客様に、
ご注文いただいた商品はお届けしますか?
それとも、今回特別にご返金対応も承りますが、いかがなさいますか?
というお手紙を出したそうだ。
そのお手紙が届いたお客様もいらっしゃれば、
もう住所が住所じゃなくなって、届かなくて連絡のなかったお客様もいらっしゃって、
郵便局のひとたちは、避難所を周ってまでお手紙を届けようとしてくださったらしい。
電話があった女の子は、
今までご連絡のなかったお客様のうちの、お一人だったとのこと。
県内の、
別のところにお引越しをして、
郵便局に転送届けを提出しておいたから、
最近、新しい通販カタログが届きました、
でも、商品が届かないので、どうなってるかな、
住所変更も兼ねて連絡をしました、
と。
社員さんがお客様に、
商品のお届けか返金かをうかがったところ、
商品のお届けをご希望だったとのことで、
早急に手配して、新しいご住所に商品を送ることになった。
Googleマップで、お客様の旧住所を確認してみると、
もう本当に海の近くで、
連日連夜、津波被害が繰り返し報道されていたような場所だった。
きっと、
お家も流されて、
お部屋にあった商品も持っていかれて、
苦労して買った商品も、
お小遣いをやりくりして買った商品も、
みんなみんななくなってしまって、
わたくしが今お世話になっている会社を知っているなら、
中高生の女の子にとって、
お届けする商品が、
どれだけ大切か、
どれだけ大事か、
きっとわかると思う。
会ったこともない、
これから会うこともない、
接点を持つこともない女の子が無事でよかったと、
部署内全員でこれだけ喜んだことはない。
生きててよかった、
これから届けられる商品が、
彼女の心の支えになれば。
うんざりする日も多いけど、
ずっと“君ら”は、彼女たちの王子様で居てください。